ソーシャルメディアのマーケティング活用

2013年7月 9日

NPO法人 ITC中部専務理事(広報委員長、マッチング事業委員長、BD委員) 秋山 剛

 現在私は「東海学園大学大学院経営学研究科修士課程」2年在学中で、修士論文のテーマとして「ソーシャルメディアのマーケティング活用」を研究しています。今後学会での発表等も予定しておりますが、今回はこれまでの研究成果からさわりだけお伝えします。


 近年TwitterやFacebookのユーザーが急速に加速しており、企業の広告媒体もマスメディアからソーシャルメディアに移行しつつあります。大企業においては既にソーシャルメディアをマーケティングに活用して成功している企業も数多く見受けられますが、中小企業においてはどうやって活用したら良いのかさっぱりわからずに、TwitterやFacebookは始めてみたものの活用はしていないのが実情だと思います。中小企業での活用方法について私の感じる所を述べます。


1.目的を明確にする


 まずは何のためにソーシャルメディアを活用するのか目的を明確にする必要があります。目的としては以下等が挙げられます。


①ブランド認知・ブランドイメージ向上
 商品そのものを売るよりは、企業や商品のブランドを広く認知させたり、ブランドイメージを向上することを目的とします。ブランドが認知されることで、顧客がいざ購入しようという段階になった時に、自社のブランドを想起してもらい、購買に繋げます。


②商品のクチコミを広げる
 コトラーの著書「マーケティング3.0」によれば、90%が知人からの推奨を信頼しており、70%がオンラインで投稿される顧客の意見を信用しているとの統計が出ています。ネットでのクチコミを広げることで、新規顧客の獲得に繋げます。


③ニーズの収集
 ソーシャルメディアは顧客からの意見を吸い上げるのにも活用できます。自社の情報を一方的に発信するのではなく、顧客のニーズを収集することでニーズにあった商品の開発や販売を行い、売上拡大に繋げます。


④自社に親しみを持ってもらう
 商品の宣伝等ではなく、顧客に有益な情報を提供することで、自社に親しみをもってもらい、顧客が「他社と同程度の商品ならいつもお世話になっている企業の商品を買おう」という心理に働きかけ売上拡大に繋げます。


⑤お買い得情報を発信
 顧客は同じ商品を買うなら少しでも得をしたいと考えます。頻繁に購入されるような商品の場合は、タイムセールの情報であったり、キャンペーン情報等の情報を発信することで、顧客の購入頻度を向上させ、売上拡大に繋げます。


⑥サポート
 顧客は購入したものは、購入した金額以上に元を取れるだけの満足度を得たいと考えています。しかし使い方が良くわからなかったり、商品に問題があれば十分に満足を得ることができません。これらの顧客に対してソーシャルメディアの双方向性を活用してサポートを実施することで顧客満足度を向上し、次回購入時にも自社の商品を購入してもらう可能性を上げることができます。


 このようにソーシャルメディアは色々な目的に活用でき、目的によって戦略も変わってきます。まずは何を目的とするのかを決めた上で、ソーシャルメディアの活用方法を検討することが重要となります。



2.戦略を考える


 目的が決まったら実際にどのソーシャルメディアを活用して、どのような情報を発信し、顧客にどのような反応を期待するのかの戦略を考える必要があります。戦略を考える場合には以下の4つの視点で考えます。


①商品の特性
 自社が扱っている商品にどのような特性があるのかを考えて、商品特性にあった活用方法が必要です。顧客がめったに買わない高額な商品なのか、日常的に購入するような最寄品なのかによって発信する情報の内容やターゲットとする顧客層が異なりますので、まずは商品の特性を十分に理解しておく必要があります。


②ターゲット層
 次に対象とするターゲット層を決めます。自社の商品を利用する地域・年代・性別等ももちろんですが、顧客すべてをターゲットとするのか、一部の顧客層にだけターゲットを絞るのかも考える必要があります。自社が発信できる情報や顧客が求めている情報によっては全ての顧客をターゲットとするよりも、一部の顧客に的を絞ってソーシャルメディアを活用することも有効です。


③顧客のニーズ
 ソーシャルメディアを始めても顧客が見てくれなければ効果はありません。そのためターゲット層の顧客が求めている情報ニーズは何なのかを考える必要があります。情報のニーズとしては商品に関する直接的な情報として安売りの情報・クチコミ・サポート情報等があります。また商品に関連した一般的な情報(例えば中古車販売において、良い中古車の選び方の情報等)が求められることもあります。


④情報の種類
 最後に上記を踏まえてどのような情報を扱うのが望ましいのかを決定します。基本的には顧客ニーズにあった情報で、自社が長期的に提供可能な情報は何なのかを検討します。もし自社で発信できる有用な情報がなければソーシャルメディアの活用は断念することになります。

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3.戦術を考える


 最後に具体的な戦術として以下を検討します。


①どのソーシャルメディアを使用するか
 自社の目的や顧客ニーズに合わせて、使用するソーシャルメディアを選択します。Facebookは実名制であることから堅い話題に向いています。逆にTwitterは文字制限もあり軽い話題に向いています。それぞれのソーシャルメディアの特性を理解して、どのソーシャルメディアを使用するのかを決めます。場合によっては複数のソーシャルメディアを使用することも効果的です。


②どのような情報をどのようなタイミングで発信するか
 戦略で決めた情報の種類にあった情報を誰がどのようなタイミングで発信するのかの、運用方法も明確にしておく必要があります。折角自社のファンになってくれても情報発信の頻度が少なかったり、内容が薄かったりすれば顧客は離れていってしまいます。


③ユーザーを増やす方法を考える
 ソーシャルメディアを始めても誰も見てくれなければ意味がありません。一番重要なのはどうやってユーザーを増やすかです。折り込みチラシやネット広告等を利用するのも効果的ですが、費用も掛かるので、地道に来店してくれた顧客や、知人に「Facebook始めました」等のチラシ等を配るのも1つの手です。



4.まとめ


 ソーシャルメディアは未だ利用が始まったばかりのメディアで今後もどんどん進化していくものと思われます。無料で使えるものも多く中小企業にとっては多額の広告宣伝費を掛けずにマーケティングが行える可能性を秘めています。一方で一定の成果を出すためには日々情報を発信したり運用面では手間を掛ける必要があり、ある程度の覚悟を持って活用しなければなりません。その際には目的・戦略・戦術をしっかりと決めて、より効果的に活用して頂きたいと思います。現在未だ研究の途中であり、今後もっと分かり易く活用方法をまとめて行きたいと思います。

以上

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