経営情報学会東海支部・特定非営利活動法人ITC中部共同事業「ユーザー視点のITコーディネータ活躍促進のための活動」

2017年3月27日

ITC中部理事 広報委員会委員長 吉田 信人

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これは、201739日に法政大学市ヶ谷キャンパスにて開催された、

経営情報学会2017年春季全国発表大会にて発表されたものです。

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経営情報学会東海支部・特定非営利活動法人ITC中部共同事業

Jasmin Toukai and NPO ITC-Chubu Joint Project

ユーザー視点のITコーディネータ活躍促進のための活動

The Activity for promotion in order that IT coordinators can play active roles standing on the user side.

    

吉田信人 特定非営利活動法人ITC中部

NPO ITC-Chubu  Chikato YOSHIDA

    

本事業は、企業内に所属し、ITコーディネータの資格、能力を十分に活かしきれていない資格保持者が多数存在するという仮説のもと、ITの企業経営への有効活用のためにIT人材が活躍できる条件とその阻害要因の克服の方策を、経営情報学会とITC中部が共同して検討し、実施することを目的としている。201612月に経営情報学会とITC中部が共同で行ったワークショップ行事により、企業内に所属するITコーディネータの主要成功要因の検討が行われ、共同事業の具体的テーマのアイデアが多数あげられた。

    

 We assume that many company employee IT coordinators cannot play active roles which reflects the IT coordinator qualification. The aim of this project is that Jasmin Tokai and ITC-Chubu jointly study conditions in which IT personnels can play active roles in order effective IT application for the enterprise management and execute measures which settle the hindrance of their activities. In December, 2016, Jasmin Tokai and ITC-Chubu jointly held the workshop. They studied critical success factors of company employee IT coordinators and presented many ideas of the joint activities.

    

1.事業の背景

 経済産業省推進資格であるITコーディネータ(以下ITC)は、経営に役立つIT利活用に向け、経営者の立場に立った助言・支援を行い、IT経営を実現する人材である。現在全国で約6,500名が資格を保有している[1]ITC資格保持者はその所属から大きく3つに分類されると言われている。第1は独立系ITCと呼ばれ、独立開業コンサルタントとして活動しているITCである。第2はベンダー企業内ITCと呼ばれ、ITベンダー企業に所属し、顧客へのIT導入・活用サービスにおいて活躍しているITCである。第3はユーザー企業内ITCと呼ばれ、ITユーザー側の企業・組織内に所属しIT導入・活用業務に活躍しているITCである。

 ITC資格保持者の多くは第2、第3ITCであるが、それら多くのITC資格保持者はその資格を十分に活用できていないという意識を持っている。資格取得時のITC資格に対する期待と資格を取得してからの実際の活用実態の乖離があることを意味している。東海支部とITC中部はITC資格保持者がその資格能力を有効に活用して企業・組織へのIT活用へ貢献できるようにするための共同事業に合意した。

     

2.我が国企業のIT人材の課題

 経営環境の変化の期間がますます短期化しているなか、企業としても経営環境変化への適応も短期間に実現することが余儀なくされている。ITと経営は一体となって変化への対応を行わなければならないが、変化への対応において従来のウォーターフォール手法の限界、あるいはパッケージ導入の限界が叫ばれて久しい。アジャイル手法が提唱され、その有効事例も多く紹介されてるが、我が国では普及が進んでいない。また、多くの中小企業ではITを活用できる人材を十分保有することができないためIT導入はベンダー任せとなり、折角投資したITがその企業の戦略、プロセスに最適な活用がなされていないとの指摘がある。

 図表1.は我が国と諸外国のIT人材の所属企業の人数を比較したものであるが、我が国の全IT人材の人数に対する、ユーザー企業内IT人材の割合は約24.9%となっている[2]。米国ではこれは71.5%である。また、別調査[3]では我が国のユーザー企業内IT人材の割合は24.7%EU諸国のユーザー企業内のIT人材の割合は52.4%であり、統計の年代は異なるが、我が国のIT人材は欧米先進諸国に比較してその多くがITベンダーに所属しているおり、ユーザー企業内には少ないことがわかる。

 図表1.png

図表1. 各国のIT人材数

  

図表2.png

図表2. これまでに経験した転職の回数

 

 図表2.は IT人材の転職回数の国際比較である[4]。転職回数0回の割合は47.0%と諸外国に比較して大きい。終身雇用制の雇用慣行がIT人材においても例外でないことを示している。このことはITベンダーに所属する人材の大半は顧客への導入プロジェクトが完了すると同時にその顧客であるユーザー企業を去ることを意味する。また、企業内IT人材は給与計算とか生産管理とかという個々の業務のスペシャリストとなることに制約を受けゼネラリスト化しやすい傾向があるのではと考えられる。企業内のITの有効活用をその環境適応のスピードという観点でみてもIT人材が対象業務知識に精通している場合とそうでない場合ではITの対象業務への有効度に差が出ると考えられる。またIT人材の流動性が高い諸外国では、IT人材自身の専門性を保持、向上させながら転職する状況を想定するならスペシャリストとしてのIT人材の力量にも我が国と諸外国の間で差を生じている懸念がある。アジャイル手法が我が国で普及しない要因のひとつとも考えられる。

      

3.有効なIT導入のための解決策

 我が国の多くの企業は、IT導入・活用のための多くの情報と労力をITベンダーにゆだねている。さらに中小企業はそのほとんどを自社人材で賄えない。有効なIT導入・活用を実現するには、IT人材の対象業務への精通が望まれる。また、最適な方策決定のためにも自社員でIT導入・活用を進めることが理想であるが人材投資は進んでいない。その解決策としてITC資格が創設されたのであるが、多くの資格保持者はベンダー企業内ITCであり、本来の資格創設の目的を十分果たしているとは言えない。ITC資格創設の目的を一層効果ならしめるものはベンダーから独立し、ユーザー側に立ってIT導入・活用の活動を行える、独立系ITC数の増加である。しかし、企業内ITCがリスクを冒して独立開業する者は少ないと考えられる。

 そのような状況のなか、第一線のIT導入現場から離れ、定年を間近に控え管理的業務に従事している企業内ITCは多くいる。図表3.は年金支給開始年齢が65歳まで段階的に引き上げられる制度が平成25年度から開始されるにあたり、61歳から64歳までの労働者に対し行った調査結果である[5](a)は何歳まで働きたいかという質問の結果であるが、各年代とも69歳まで働きたいという希望が多い、(b)は今の仕事をより熟達したいかという質問、(c)は新しいことを始めたいかという質問の結果である。現時点では、年金支給開始年齢は当時より引き上げられており、本調査の時期に比較して定年後の収入確保の必要性は高い。この結果から定年を控えた企業内ITCの中には、独立コンサルタントとして新しい道へ転身をはかることを模索している人も少ながらずいる可能性を示唆している。

  

図表3.png

 そこでITC中部では、企業内ITCではあるが資格を十分活用できていないと考えられるいわゆる「ペーパードライバーITC」に向け、定年後の新しい仕事の方向性として、独立系ITCへの転身を促す活動を展開することの有効性を認識し、経営情報学会東海支部へ共同事業の提案を行った。

   

4.共同事業「ワークショップ 『ユーザー側視点のITC再出発』~あなたのITC資格、眠らせていませんか~」

 2016124日、中京大学名古屋キャンパスにおいて、経営情報学会から4名、ITCから9名の参加によりワークショップを開催した。ITCの参加者は現在、企業内ITCに所属し、自らの資格が有効に活用できていないことに問題意識のある人、現在、独立系ITCとして活躍している人などである。参加者全員で3つのグループに分かれてのグループディスカッションを行った。「①企業内ITCが独立して成功するための主要成功要因(CSF)とは、②このCSFのために ITC中部、経営情報学会に期待すること。」のテーマについてディスカッションを行い、ITC中部と経営情報学会の今後の活動企画のアイデアは多く提案された。現在このアウトプットを整理分析中である。東海支部側は個々の大学関係者として、各人の研究課題が企業課題解決に貢献すべく企業人とのコネクションを強化するものとして、中部側は企業内ITCの独立系ITCへの転身を促進することを趣旨とした企画を2017年度には立ち上げることを模索中である。

   

【参考文献】

[1] 特定非営利活動法人ITコーディネータ協会 WEBページ

https://www.itc.or.jp/about/

[2] 独立行政法人 情報処理推進機構(2011)/「グローバル化を支えるIT人材確保・育成施策に関する調査」概要報告書、20113

[3] 独立行政法人 情報処理推進機構 IT人材育成本部編(2016)/IT人材白書2016P.99 「EUと英独仏と日本におけるIT企業とそれ以外の企業に所属するIT人材の割合」

[4] 経済産業省 商務情報政策局 情報処理振興課(2016)IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果 報告書概要版 ~、平成28610

[5] 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(2012)/団塊世代の就業・生活意識に関する調査研究報告書-2011年調査-、平成243

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